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丘の学び舎 その80(中高生版)

2020年7月27日 校長室より
中高生の皆さんへ 梅雨明けが待ち遠しいですね。夏休み前最後の週となりました。今年の夏休みは例年より短くなってしまいましたが、4月からの緊張の日々で疲れた体や心をちょっと休め、また次の学校生活に備えてほしいと心から願っています。 ほぼ5か月に及ぶ、新型コロナウィルス感染症拡大のもとでの生活を振り返ると、とても不思議な時間を過ごしてきたような気がします。この間に私たちが学んだことは何だったのでしょう。もちろん一人ひとり異なる経験であったと思いますが、自分ではどうしようもない、理由や解決を求めてもすぐには答えが出ないような事態を、世界の人々と共に耐えてきたということ、そのこと自体の中に、とても大切な学びがあったのではないでしょうか。決して楽しい経験ではありません。スピードに慣れた現代人にとっては、一刻も早くすっきりしたいという思いは山々ですが、このようなもどかしい状態は数年続くのかもしれません。 現代世界の様々な課題と向き合い世界の人々と共に解決していく力、これは21世紀を生きる人間に求められる資質ですが、「どうしようにも、どうにもできない事態」と共に生きていくこと、これも現代において大切な能力といえるのではないでしょうか。それは決して捨て鉢になることではありません。自分にとって心地よくない状況を引き受けることのできる柔らかさといった方がよいのかもしれません。 幸い、カトリックの学校で学ぶ皆さんには、素晴らしいモデルがあります。それは、自分では理解できないようなことに遭遇した時、いつも「思いめぐらす」という姿勢でおられたマリア様です。そして、今はわからなくても、神様が必ずよいようにしてくださるので、それを信頼して待ちましょう、というのがマリア様の態度でした。その「神様に委ねる」生き方ゆえに、マリア様は神の母、全人類の母となられたのです。 毎日、感染拡大にまつわるデータや様々な政策・見解等、溢れるほどの情報が伝えられ、混乱と不安に陥る日々です。そんな中、視野を広げてしっかりと考え、思いめぐらしながら、神様への揺るぎない信頼をもって、この世界が変容されていくのを待ち続けることにいたしましょう。

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