小林聖心女子学院ブログ 小林聖心
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丘の学び舎 その14

2013年6月6日 校長室より

マザー・バラの願い

 創立者聖マグダレナ・ソフィアのお祝い日は、皆様もご存知の通り、5月25日です。教会で聖人を祝う日は、亡くなられた日、つまり神様のみもとに帰り新しい命に与られた日となっています。マザー・バラは1865年5月25日に神様に召されましたが、その16日前の5月9日、パリの聖心女子学院(ビロン邸)の小学生たちを学校に隣接するご自分の修道院に招かれた、という記録が残っています。子どもたちに神様のお話をし、真っ赤なりんごをプレゼントなさいました。そして最後に、子どもたち一人ひとりに祝福を与えてお別れとなりました。マザー・バラが、生涯をかけてこよなく愛された子どもたちと過ごされたた最後の時間。どんなに慈愛に満ちた表情で子どもたちを眺めておられたことでしょう。そして、そのマザーが与えられた祝福に、限りなく深い思いを感じます。

 祝福とは、旧約聖書に描かれている通り、まず「生まれてきてよかったね。おめでとう。」ということです。すべての命の創造の始めに注がれた、神様の心です。マザーは、あなたが生きているということはどんなにすばらしいことか、その思いを伝えたくて、一人ひとりの上に手を置いて祝福なさったのでしょう。

 もう一つ、祝福は「幸せでありますように。」という祈りです。人生にどんなことが待っているかは誰にもわからず、社会もどんどん変化していく。そんな中で、自分も人もかけがえのない存在として尊び、互いに支えあいながら、生きることの意味や喜びを見出していく幸いを、マザー・バラはどんなに願われたことでしょう。

マザーバラは 目にうつる かたちには
まどわされませんでした。
なぜなら マザーバラには 見えるのでした。
すべてのひとの なかに かがやく 
とくべつな ひかりが・・・
どんな ひとの なかにも
きえることなく かがやきつづける
神さまの すがた・・・
愛にあふれた マザーバラの 目には
見えるのでした

「聖マグダレナ・ソフィア・バラ」児島なおみ著

 小林聖心の皆様一人ひとりは、愛にあふれたマザー・バラのまなざしで、今も見守られています。そして、「生まれてきてよかったね」「幸せでありますように」と祝福していただいているということをどうぞ忘れないでください。今度のお祝い日には、是非、マザー・バラのそのあたたかい祝福を感じ取ってほしいと心から願っています。

丘の学び舎 その13

2013年6月6日 校長室より

「創立90周年」を祝う心

 いよいよ、創立90周年を記念するお祝いが近づいてきましたが、「記念する」という言葉には、「思い起こす」という意味が込められていますので、今度のお祝い日には全校を挙げて、この学校で語り伝えられ、ずっと大切にされている物語(Story)を思い起こしたいと思います。また、「思い起こす」とは単に過去の話を記憶に甦らせるということではありません。今の小林聖心でその物語に命を与えて生きたものとし、未来につなげるということです。そんな「創立90周年」のお祝いにしていきたいですね。

 大切な物語のまず最初は、イエス・キリストという方についてです。2000年以上も前のこと、イエス様は私たち一人ひとりの存在の根本に神様の愛があるのだということを、生涯をかけて、身をもって示してくださいました。この方がいらっしゃらなければ、何も始まりませんでした。イエス様の心に強く惹かれ、イエス様のように生きたいと願って実行された聖マグダレナ・ソフィア・バラというフランスの一人の女性によって、この学校が始まったからです。この女性がいらしたお蔭で、「イエスの聖心」という名前の学校が212年前に始まりました。そして、現在、世界30カ国に広がる、149の学校というネットワークが出来上がったのです。

 次は、聖マグダレナ・ソフィアの思いを受け継いで日本に渡ってきてくださった、欧米からのシスター達のお話です。この話は105年前に始まります。そのシスター方の中に、小林聖心の初代学院長となられ、たくさんの精神的・物質的遺産を残してくださったマザー・マイヤーがいらっしゃいます。小林聖心の子どもたちをこよなく愛し、二度と祖国に帰ることなく教育に献身し、日本の土となってくださったシスター方は100名を超えます。小林聖心の90年という歴史を、天国で一緒に喜んでいてくださることでしょう。このシスター方の存在を決して忘れてはなりません。さらに、そのシスター方の教育に対する篤い思いに心動かされ、小林聖心のためにご尽力くださった恩人の皆様。そして、この学校で教えてくださった先生方と7000名を超える卒業生。本当に多くの方々の心が今もこの学校に生き続けています。そのことに気づき、未来につなげていくのは、2013年の今を共有している私たちの責任であり使命であると言えますね。

 今年の学校の目標「今 ここに 立つ」が示しているとおり、小林聖心の生徒としてしっかりと今を生き、この学校を愛する多くの方々から受け継いだものを皆様らしく表現しながら、過去と未来をつなげていってください。それこそが本当の90周年の記念だと思います。

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