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【校長室より】丘の学び舎 その1

2010年10月 5日 14:09

「未来の自分」

 いよいよ、後期が始まります。衣替えとなり、青空に皆さんの制服が美しく映えています。今日はどんな気持ちで制服を身につけ、学校への坂道を上がってきましたか。後期の始業の日にあたり、皆さんにこんなふうに過ごしてほしいと願っていることをお話したいと思います。
 私はこの夏、体験学習の引率としてフィリピンへ行ってきました。昨年はインフルエンザの影響でキャンセルとなりましたので、2年ぶりのフィリピンでした。もう今回で10回ほど、しかも毎年同じような場所に行っているわけですが、必ず忘れられない出会いがあります。今回、頭から離れないのは、パヤタスというゴミ山の町に住んでいる4・5歳の男の子です。家族は環境の悪いところに住み、ゴミの中から金目のものを拾って生活していますので、一日に一回でも食事らしいものを食べることができれば幸いという状況です。教会が食事のサービス(Feeding Program)を行い、子どもたちはそこでかろうじて栄養を確保しています。そのプログラムに訪れた時のことです。食事が配られ、長いお祈りを唱えた後、いっせいに子どもたちが食べ始めました。男の子の隣に座って様子を眺めていた私は、その子の「食べる力」に圧倒されそうになりました。人間は生きるために食べる。食べることに込められた人間の生きようとする力は本当にすごいとしか言いようのない日本ではありえない、体験でした。

 今の私たちにとって、お腹一杯食べることができるということはあまりにも当たり前のことです。どんなものが出てきても、「別に・・・」とか「フツー」と思っているでしょう。お腹がすいて、やっと食べられた時の喜びぐらいはわかりますが、慢性的に空腹状態のあのフィリピンの子どものように、これを食べなければというような必死の思いは体験したことがないです。勉強も同じことが言えます。字が読めるということ、これだけのことを毎日学んでいるということ、また、学んだことを発揮する様々な活動の機会に恵まれているということなど、すべて当たり前すぎて何とも思わなくなっています。それどころか、物や情報があふれる世界の中で、人間はそれらに押しつぶされそうになったり、ありすぎる中から選ぶということに疲れを感じたりしているのが現実かもしれません。
 しかし、何でも与えられすぎているように思える私たちの生活ですが、与えられていないものがあります。それは「未来の自分」です。これは、自分で作らない限り、誰も作ってくれません。高校生になったら、大学生になったら、こんな人になりたい。また、社会でこんなふうに活躍する人になりたい。自分の未来のイメージを描きながら、少しずつ自分を作っていかなければなりません。他の人に変わってもらえないことです。「未来の自分」を作るために大切なことは、今日、まず小さなことから「やってみる」ことです。朝の朝礼前の静けさはいいですね。その時に是非、何か一つでも、心に銘じてください。そして、それを一日の生活の中で行動につなげてみることです。今年の目標がそこにありますね。今日「やってみる」ことができれば、次の日また新しい可能性が開かれます。こうした日々の小さな積み重ねが「未来の自分」を作っていくのです。
 皆さんの「やってみよう」を神様が助けてくださるということをどうぞ忘れないでください。皆さんに命を下さった神様は、「未来の自分」を作っていけるように必ず一人ひとりを支え、助けてくださいます。お祈りの時には、聖書のみことば、祈りのことばを心に響かせながら、今日の「やってみよう」を行動につなげられるように、神様に助けをお願いしてください。
 今日から始まる後期の毎日が、皆さんにとって、「未来の自分」を作っていく一日一日でありますように、心から願っています。



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