Obayashi Sacred Heart School 小林聖心女子学院(高等学校・中学校・小学校)

わたしが歩いてきた道 -小林聖心女子学院が教えてくれたこと-

河野 通子さん

河野 通子さん NPO法人MERRY PROJECT/水谷事務所 デザイナー

プロフィール

2007年卒業、79回生。2011年に武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を卒業後、NPO法人「MERRY PROJECT」を運営している「水谷事務所」にデザイナーとして就職。デザインの力で世界中の笑顔を増やすべく、さまざまなイベントの企画やデザインを担当している。2014年には、デザインなどを手がけた「ふくしまっ子 10万人の笑顔プロジェクト」でグッドデザイン賞を受賞。

今の私があるのは、私の個性を最大限に伸ばしてくださったおかげです。

知人の聖心生からお聞きした「みこころの教育」に共感したことから小林聖心に進学することを決めましたが、小学校入学前の1995年1月17日、阪神淡路大震災を経験。震災の影響でしばらく別の学校へ通う友人や、聖心の在校生にも命を落とされた先輩がいらっしゃり、ペットボトルで手作りされた塔が校庭に建っていたことを今でもよく覚えています。今振り返ると、幼いながらに考えることの多いスタートでした。

私は子どもの頃から絵を描くことや何かをつくることが大好きでした。小学生のころは友人と一緒に、絵本や雑誌を制作したり、林間学校では自作の歌ライブを開催したり、カセットテープにラジオ番組を録音したり、常に何かをつくる事に夢中でした。中学生になると、生徒が主体となる学校行事も増え、自分のつくった作品を第三者に発表できる機会に恵まれました。

先生方は私たちが何を作っても否定せず個性として認めてくださいました。聖心で過ごした12年間、自分の好きなことを積み重ねることができたおかげで、デザイナーとしての今の自分があると思います。

河野 通子さん写真1

写真左の赤い帽子が私。中央に写っている、小学校以来の友人と後に仕事をすることになります。

河野 通子さん写真2

図工で作った粘土作品と私。小中高、一貫して最も好きな授業は美術でした。

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(上)中学生の時の学院祭での写真です。
(中)中1から高2まで続けた、ESSの部活。(ESSクラブは現在はEDCクラブに名前が変わっています)
(下)ESSの顧問でお世話になった黄田先生と。

先生方に支えられながら、多くの挑戦ができたことは、今でも大きな励みです。

中学3年生のとき、学院祭で自由企画を発表できる機会がありました。友人と4人で、校内の一番小さな部屋を丸ごとかわいいもので埋め尽くすという展示を行いました。学習発表のような展示が大半だったなか、かなり異質な存在だったと思います。私たちが企画に全力で取り組めたのも、担任の先生の応援があったからこそです。

先生は、私が週番日誌に描いたちょっとした落書きも笑顔で「すごい!」と言って個性を伸ばしてくださいました。先生にほめられるのが嬉しくて、何かつくるといつも見せにいっていました。今でも仕事でデザインしたものを先生にご報告して励みにしています。

クラブ活動では、ESSの部長として学院祭で上演する作品のディレクションを経験しました。全員から「無理じゃない?」と言われていたライオンキングの演目に挑戦し、悩みながらも必死に作品づくりに打ち込みました。最後にはたくさんのお褒めの言葉をいただくことができ、成功体験として私の人生に深く刻まれています。そのおかげで今でもチームワークが必要とされる仕事や、つくる上での課題にぶつかった時には、辞書を引っ張り出すかのように、聖心で学んだ日々を重ね合わせ道標にしている事が多くあります。

小林聖心で養われた「奉仕」の心が社会に働きかける基盤となっています。

大学まで進学できるにも関わらず、生意気にも「大学は自分で決めるからね!」と言ってしまうような子どもだった私は、その言葉通り、美術大学へ進学しデザインについて学びました。聖心に入学してから大学卒業まで、好きなものを思うがままにつくり続け、それが今デザイナーという仕事に形を変え継続しています。

私が所属しているデザイン事務所では、「MERRY PROJECT」というNPO法人を運営しており、デザインの力で世界中に笑顔を増やすアートプロジェクトに取り組んでいます。世界中の子どもたちの笑顔がプリントされた「笑顔の傘」は、北京オリンピックの開会式でも2008本が一斉に開かれました。

そしてこのような社会貢献活動での基盤となっているのが、聖心で養われた「奉仕」の心です。小学生の頃から、「おにぎり募金」をはじめ、常に何かしらのボランティア活動に取り組んでいました。「世界を視野に入れ、困っている方々に目を向けて行動する」ことが習慣化されており、今では学校から社会にフィールドを移し、自然とそれを実践しているように感じます。この仕事に就いてから、聖心で教えていただいた「奉仕」の心に、自分の好きな事や得意な事を掛け合わせれば、面白い仕事が生まれるのだと気が付きました。

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「笑顔の傘」は、北京オリンピックの開会式でも使用されました。

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MERRY PROJECT代表のアートディレクター・水谷孝次氏は、世界30カ国をまわり4万人以上の笑顔を撮影しています。

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小中高の友人がメキシコでオープンした、インターナショナルスクール「My Little Sunshine」のデザイン・アートディレクションを担当。

(上)女子パウロ会から出版させていただいた絵本「はーい にっこり!」では、文・絵・デザインを担当しました。 文部科学省・特別支援学級教科書に認定されています。
(下)阪神淡路大震災から21年目を歩み出す神戸・新長田にて、1月17日に笑顔のイベントを開催。

社会や世界を視野に入れた学びの価値を深く実感しています。

社会に出てから、聖心のネットワークを感じる機会が多くあります。カトリック修道会のシスターから絵本の制作依頼をいただいたり、阪神淡路大震災20年のチャリティプロジェクトでご一緒した方のお嬢様が母校の在校生であったり…偶然のご縁ではありますが、何か必然を感じるものばかり。根底で共有している思いが巡り巡ってつながり、社会に対して共にメッセージ・アクションする仲間になれるのだと身をもって実感しています。

小林聖心の教育や先生方が素晴らしいことはもちろんですが、たくさんの緑に囲まれた環境で学べたことも心に刻まれています。春には竹やぶにたけのこを狩りに行き、秋には銀杏を拾い、学校生活で四季と戯れることが当たり前でした。デジタル化が進むこれからの時代は更に、自然のなかで得る発見は貴重になっていくことと思います。

入学したばかりのころ、「こんな事をしている人は誰も居ないから無理だろう」と自ら制限をかけていましたが、思いきって「これをしたい!」と提案すると、先生方は認めて応援してくださることを知りました。それからは、学校は自分の舞台だと思い、さまざまなチャレンジを楽しむ日々。歴史と伝統のある学校だからこそ既存の環境にとらわれず、自分がワクワクできる挑戦を続けていけば、将来の夢にもつながると思います。みなさんの新しい感覚で次の時代の聖心を創り、楽しい学校生活を送ってください。