わたしが歩いてきた道 -小林聖心女子学院が教えてくれたこと-

目崎 可奈子さん

目崎 可奈子さん 神経内科医師

プロフィール

2008年卒業、80回生。東京大学理科Ⅱ類に進学し、3年次より医学部医学科に所属。2014年から岡山県の病院で初期臨床研修をスタートし、現在は、神経内科の後期研修医として入院中の患者さんを受け持ちながら、外来患者さんや救急患者さんの診療にも携わっている。国内の学会や研究会に参加するほか、海外の学会で発表することもあり研究活動にも精を出している。

人見知りでもすぐになじめた学校生活。かけがえのない友人もできました。

落ち着いた環境で情操豊かな子どもに育てたいという両親の想いから、小林聖心に入学。大人しい性格で人見知りな子どもでしたが、新しい環境に入っても違和感なく学校生活を楽しめたのは、同級生や先輩、先生方のあたたかい雰囲気があったからだと思います。夏休みや冬休みが嫌いで、むしろ早く学校に行きたいと言っていたことを覚えています。

学校全体がひとつの家族のように過ごす中で、自信を持って「親友」と呼べる大切な友人にも出会うことができました。小学1年生から中学1年生までクラスが同じだった子で、今でも連絡を取り合う仲です。彼女はピアノ、私はヴァイオリンを習っていたので、中高時代には学院祭やクリスマスの行事など、何度もデュオで演奏をしました。受験勉強で忙しくなった高校3年生の冬にも休み時間を利用して音楽室で共に練習したことは、忘れられない思い出の一コマです。

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(上)小学校入学式当日。正門前で。
(中)小学1年生。授業参観
(下)高校生の頃、学院祭で親友と演奏しました。

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中学校3年生、登山合宿。立山登山では豪雨に見舞われ、数メートル先も見えない状態でした。今となっては良い思い出です。

高校3年生、体育祭。数年間このメンバーで3人4脚を走りきりました。

小林聖心だからこそ培うことができた「考える力」と「協力し合う力」

小林聖心で過ごした12年間で、特に成長できたと思うことが2つあります。
一つ目は、さまざまな物事を自分の頭で考えることです。小学生の頃、環境資源についての授業があり、自分に与えられた主張を納得してもらうにはどうすればよいか、懸命に考えた記憶が鮮明に残っています。学年が上がると世界情勢なども調べ、皆と意見を戦わせたりもしました。活発な意見交換ができたのも女子校ならではだと感じます。多様な社会問題をテーマに、自分で調べたり他者の考えに触れたりしながら、自分の意見をまとめる力が向上したと思います。

二つ目は、みんなで協力して作り上げる力。小林聖心では、バザーや学院祭、体育祭などクラスや学年全体で作り上げる行事がたくさんあります。学年対抗の体育祭では、同級生が率先して練習スケジュールを立ててくれました。運動が得意ではありませんでしたが、早朝練習に参加するなど仲間と共に体育祭に向けて一丸となることができました。みんなの努力が実り、勝利したときの喜びはひとしおでした。

奉仕活動が医師をめざすきっかけに。思いやりの心でチーム医療に取り組む日々。

医師になることを決めた原点は、小学生の頃から取り組んでいた奉仕活動にあると思います。小学生では「銀杏拾い」。秋になると、落ちた銀杏を休み時間に拾い集めます。集まった銀杏を6年生が洗い、種をバザーで売って売り上げを寄付するのです。中学生は「帽子編み」。全員が数ヶ月かけて毛糸の帽子を編んで、家がなく寒い思いをしている方々に寄付します。さまざまな奉仕活動は「困っている人のために、生涯を掛けて私ができることは何だろう?」と自分自身と向き合う時間となり、医師としての今につながっています。

医療現場では、医師のみならず看護師や理学療法士、患者さんのご家族などさまざまな方の意見を尊重しながら診療を進めます。小林聖心では一つの目標に向けて協力し合う作業がたくさんあったので、相手の意見を尊重することの大切さを学ぶことができました。チーム医療を実践する上で、この経験が非常に役立っていると実感しています。

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高校3年生、東京大学合格発表、合格者掲示板の前で。高校ではいろいろな行事の合間にも受験勉強に勤しんでいましたので、忘れられない喜びの瞬間です。

温かくも厳しい先生方のおかげで、社会で活きる人間力を育むことができました。

先生方は私たちを温かく見守ってくれていましたが、決して甘やかすことはしませんでした。特に、礼儀作法を厳しく指導してくださったことには感謝しています。公式の場で座る際には両膝をつけて背筋を伸ばして座る、目上の方には敬語を使うなど、当たり前に思うことも大学生にもなれば注意してくれる人はいません。小林聖心で大人としてのマナー・礼儀をしっかり身につけられたからこそ、社会に出てからも自然と実行できているのだと思います。

卒業して10年近く経ちますが、東海道新幹線から高台にそびえ立つ鐘塔が見える度に、また、実家に帰り聖心の制服を着た後輩たちを見る度に、小・中・高と12年間過ごした小林聖心での日々を懐かしく思い出します。緑豊かな校舎で、人への思いやり、自分で考える力、礼儀やマナーなどを厳しく教えていただきながらも、のびのびと過ごすことのできる学校でした。この素晴らしい伝統を今後も守り続けてほしいと思います。

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