小林聖心女子学院ブログ 小林聖心
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丘の学び舎 その153

2023年10月4日 校長室より

爽やかな秋晴れの季節がやってきました。空が澄んで高く感じられます。私たちもこんな澄んだ心で神様に心を向けて過ごしたい、そんな気持ちにさせられる秋の空です。いよいよ運動場からは、ダンスの音楽が聞こえてきます。StageⅢの生徒たちが、創作ダンスの完成に向けて、一丸となって取り組んでいます。StageⅢ体育祭の山場は、何といっても学年の創作ダンスですので、生徒たちは準備に余念がありません。

この創作ダンスをつくる過程を見ていると、本当に感心します。時代の変化を感じずにはいられません。一昔前までは、場面ごとの体型を紙に描いて、それをコピーして学年で共有していたようですが、このところ、紙は全く見なくなりました。それぞれがPCを持つようになってからです。情報共有はすべてオンライン。しかも、今は動画が共有できます。委員の生徒が模範のダンスを踊って動画で配信し、各自はそれを見ながら、動きを覚えていっているようです。全体の練習を始める期末試験後には、ほとんどの動きが全員に浸透していて、かなり短期間で完成に向かっていきます。

時代の移り変わりの中で、創作ダンスの音楽も動きも、そして、制作過程も変わってきました。しかし、1801年の創立当初から受け継がれてきた聖心女子学院の教育におけるダンスの意義は、変わることがありません。ダンスを通して「個」と「共同体」を育てます。聖マグダレナ・ソフィアにも現代の生徒たちの創作ダンスを見ていただきたいものです。

本番がいよいよ近づいてきます。コロナも新しい段階に入った今年度。爽やかな天気の下で、生徒たちが競技にダンスに精一杯取り組む姿を楽しみたいと思います。

丘の学び舎 その152

2023年9月26日 校長室より

ようやく朝晩の空気に秋を感じるようになりました。学校は、後期に向かっていきます。先週の出来事と言えば、小学校の合唱祭でした。保護者の皆様にいらしていただいた日には、子どもたちの気持ちが頂点に達し、練習の成果を精一杯発揮することができました。保護者の皆様にも喜んでいただけたことでしょう。

今回の6学年の合唱の中で忘れられないのが、「算数チャチャチャ」という歌です。ちょうど10年前、創立90周年の学院挙げての合唱祭で、現12年生、当時の2年生がこの歌を歌ったことが蘇ってきたからです。1番は平方根の問題、2番は三角関数のsinθ、cosθ、tanθに関する問題、そして3番は三角関数のグラフに関する問題が歌詞となっています。小学生は言葉を暗記して歌っているだけですが、聞いている高校生は内容がわかるだけに、思わず笑ってしまうほどかわいい合唱でした。自分たちの歌が反響を呼んでいることは気にも留めず、2年生が一生懸命声を張り上げていたのを懐かしく思い出します。その歌を、100周年の今年、もう一度耳にすることができました。

合唱祭の最後に、1年生に、「『算数チャチャチャ』は、今の12年生のお姉さんが、2年生の時、90周年の合唱祭で歌ったんですよ。」と話をすると、目をまん丸にして驚き、喜んでいました。あの、大先輩のお姉さんと同じ歌を歌ったんだと思うと、一挙にお姉さんたちと自分たちの距離が縮まって、繋がったのだと思います。

創立100周年の前半を終えて、この学校を作っているのは、こうしたつながりだということを実感しています。たとえ会ったことがなくても、小林聖心でつながっている。そして、そのつながりが、一人ひとりを育て、生涯を支える力となっていくのだということを、行事の度に感じさせられた半年でした。

いよいよ、後期には、記念コンサートや記念式典が待っています。子どもたちがそうした機会を通して、小林聖心をつくっているつながりの一人である自分自身を発見してくれますようにと願っています。

丘の学び舎 その151

2023年9月19日 校長室より

厳しい残暑の中、中高生は、一生懸命、期末試験に臨んでいます。一方、小学生は今週行われる合唱祭に向けて、いよいよ練習も佳境を迎えています。中高の講堂を使っての合唱祭となりますので、練習のために中高の講堂を使ったりします。日頃聞き慣れないなんともかわいい歌声が、本館校舎に響き渡り、心癒される日々です。

学校行事はどれ一つをとっても、子どもたちにとっての成長の場です。一人ひとりにとっての成長と、学年全体、あるいは学校全体の成長です。合唱祭の準備に始まり、本番にいたるまで、子どもたちの成長を垣間見ることができます。

合唱祭であれば、まずは、一人ひとりがしっかりと声を出して歌うことに始まり、互いの声に耳を傾け全体で美しいハーモニーを作り上げていくという大きな喜びがあります。それとともに、指揮者に推薦されて、初めての指揮にチャレンジする児童。クラスをまとめていくという大役を引き受け、仲間の協力に感謝しながら、成長していきます。伴奏者も、練習に練習を重ね、仲間の歌の響きを引きたてることができるよう、指揮者と心を合わせて取り組みます。それだけではありません。学年の歌を紹介するための絵を描く児童もいます。学年で歌う歌のメッセージをしっかりと理解し、聞いてくださる方に一目で歌の魅力を伝えられるよう、心を込めて描きます。誰一人の声が欠けても、また様々な役割に挑戦してくれる人もいなければ、合唱祭は成功しません。

今週は、いよいよ、校内での合唱祭と、ご家庭の皆様にもおいでいただいての発表があります。2度の本番での発表を通して、これまでの練習以上に、また子どもたちが伸びていくことを心から楽しみにしたいと思います。

丘の学び舎 その150

2023年9月12日 校長室より

朝晩、ほんの少しだけ凌ぎやすくなってきています。しかし、本格的な秋の訪れはまだまだでしょう。学校は前期の締めくくりに入ってきています。中高生は前期末試験のシーズンを迎えますので、体調を整えて、しっかり取り組んでほしいものです。

小学校の図書館、ソフィー・センターの入り口には、「?を!にしよう」と大きな文字で書かれています。「?を!にする」これこそ、学ぶ喜びといえます。図書館は、そんな「?」を「!」に変えるチャンスがつまった場所です。

聖心女子学院には、「聖心女子学院生18歳の姿(プロファイル)」というものがあります。いわゆる高校3年生までに身に付けておいてほしい力、今でいう、コンピテンシーです。決して完成された姿ではなく、18歳の時点で、そのように育っているように、ということを6分野50項目で表しています。先生方は、授業であれ、他の場面であれ、この50項目を意識しながら教育活動にあたっています。

その中の、「知性を磨く」という分野には、「学ぶ喜びと学習の達成感を知っています」「真理を追究したいという意欲が育っています」とか、「知的好奇心が身についています」といった14の項目があります。卒業前に実施する高3の自己評価では、「知性を磨く」という分野で最も評価の高い項目となるのが、これら3つです。すべて、「?」で始まったことが、いつしか「!」に変えられたという経験から来ているのでしょう。

一学年の半分が終わろうとしています。後期もまた、1年生から12年生まで、それぞれらしい「?」から「!」へという体験が一人ひとりの成長をもたらしてくれますように。

丘の学び舎 その149

2023年9月5日 校長室より

夏休み明け2週目も残暑続きですが、学校生活は通常の活気が戻って来ています。このところ、「100周年」という言葉に出会うと、「小林聖心と同じ時」と反応してしまいます。先日もそうでした。関東地方に未曾有の被害をもたらした関東大震災がおこったのが、1923年つまり100年前の9月1日です。今では防災の日となった9月1日には、「関東大震災から100周年」と、盛んに報じられていました。

1923年9月1日。東京の聖心では、ヤン・レツル氏設計の本館校舎を除いて、すべての建物が壊れましたが、幸い聖堂で昼の祈りを捧げていたシスター達は全員無事でした。崩れたレンガの山の中から聖体顕示台(イエス様のお体であるご聖体を顕示するための台)を拾い上げて別のところに移し、その前で祈り続けたそうです。

この大震災の後、東京聖心の子どもたちが何人も住吉聖心(小林聖心の前身)に疎開してきました。遠方から東京の聖心に入り、寄宿生活を送っていた生徒たちは、住吉聖心に預けられることになったのです。手狭な旧別荘の学院は満員となり、いよいよ本格的な学院建設のため、広い敷地を探すこととなりました。そして、見つかったのが、この小林の地です。学院建設が急ピッチで進められました。関東大震災を教訓に、アントニン・レーモンドは、大地震にも耐えられる頑丈な本館校舎を建てました。壁は厚く、窓が小さいのも、そういった配慮といえるのでしょう。お陰様で、阪神淡路大震災の際は、建物自体びくともせず、しっかりと立っていました。

色々な歴史が交差しながら、100年の時が流れました。そして、今年、また新しい歴史を紡いでいきます。

丘の学び舎 その148

2023年8月29日 校長室より

Welcome back to School! 残暑とは言い難い猛暑の中、学校生活が再開しました。たくさんの荷物を手に、子どもたちが登校してきました。久しぶりの坂道は、なかなかきつそうです。子どもたちの元気な顔を見ると、いよいよ始まりだという気持ちになります。一人ひとりの顔や様子から、どんなお休みを過ごしたのかが伝わってくるようです。

修道院では、休暇中の子どもたちのために唱えるお祈りがあります。「慈しみ深い神よ、あなたから委ねられた子どもたちのために心から祈ります。あなたの御名によって一人ひとりを守り導き、みこころのうちに大きく成長させてください。」という言葉で始まります。その中の一節には、聖母マリアの取次ぎを願う言葉があります。「子どもたちの心の母である聖母マリアよ。子どもたちをあらゆる危険からお守りください。そして、心を照らし、賢明さと優しい心が育つよう、お守りください。」休暇中、子どもたちが心身ともに憩いの時を過ごし、あらゆる危険から守られて、知性においても、魂においても、大きく成長すること。そんな願いをマリア様に託しています。

活動の制限もない4年ぶりの夏。一人ひとり、日常とは異なる出会いや学びがあったことでしょう。今日からの新しい学校生活の中で、それぞれが成長していく姿を楽しみにしたいと思います。

学校では、100周年の記念の年が進んでいきます。11月には、記念コンサートや記念式典が待っています。「Courage and Confidence ~Moving on to a New Chapter~」という今年度の目標通り、1年生から12年生まで、心を合わせて100周年のしっかりとした節を作り、「New Chapter」に向かっていきたいと思います。

丘の学び舎 その147

2023年7月18日 校長室より

正門付近のカウントダウンボード「夏休みまであと何日」が、とうとう「0」となりました。小学校では金曜日に終業の日を終えて、今日からそれぞれの学年の活動。中高は学年行事を先週終えて、今日、終業の日を迎えました。それにしても、先週末から、暑い毎日です。一挙に本格的な夏を迎え、セミも元気に鳴いています。

4月からの生活を振り返ると、学院を挙げての「Courage & Confidence~勇気と信頼~」の日々であったように思います。コロナが新しい段階に入り、学校生活に活気が戻るとともに、お祝い行事が続き、とても豊かな3か月余りを過ごしました。児童生徒の「Courage & Confidence」を、様々な場面で見せてもらいました。子どもたちにとっては、きっと一生の思い出となるようなできごとがあったことでしょう。

学院が100周年を祝っている今年、世界も日本も、たくさんの不安を抱えて、手探りの中、進んでいるようです。90周年を祝った10年前の小学校1年生が、今や高校2年生です。あの時には想像もできなかった世の中の変化や、私たち自身の意識の変化を思うと、現在の小学生が高校生になる時の世界はどうなっていることかと、考えてしまいます。しかし、小林聖心が歩んだ100年も、同じように変化し続けてきました。どんな時代にあっても、学校の使命は、子どもたちが生まれてきたことの意味を見出し、生来の資質を伸ばして、喜びを持って他者とともに生きていけるよう、育んでいくことに他なりません。教師自身も変化を柔軟に受け止めながら、目の前の子どもたちに向き合っていきたいと思います。

夏休み中、普段とは異なる生活の中で、子どもたちが本物に触れ、人と出会い、自分で考え、感動に心を振るわせ、豊かな時を過ごすことができますように。神様の祝福を祈り続けたいと思います。

丘の学び舎 その146

2023年7月10日 校長室より

先週の金曜日は七夕のお祭りでした。天の川がもっとも壮大に広がる様子を見ることができる夏ならではの習わしです。七夕伝説で有名な織姫星(ベガ)、彦星(アルタイル)や、ギリシャ神話で有名な英雄ヘラクレスを表した、ヘラクレス座があります。織姫と彦星を巡る伝説とも相まって、何となく、夜空を眺めたくなる日です。

学校ではあちらこちらに、短冊や吹き流しを付けた笹が飾ってありました。短冊に書き表された子供たちの願いを読むのが楽しみです。人間は、古今東西、遥か彼方の手の届かないところで瞬いている星に希望を見出し、お願い事をしてきました。また、人間を超える大きな力の導きを、星から感じ取ってきたともいえます。新約聖書によれば、生まれたばかりの幼子イエスを拝みに東方からやってきたのは、占星術の学者たちでした。救い主の誕生を伝える星に導かれて、はるばるやってきたのです。幼子に贈り物を捧げて礼拝しました。

私の人生で最高に感動した星の思い出といえば、立山への登山合宿に生徒と出かけた際、室堂山荘の外から眺めた星空でした。あの光景は、忘れることができません。星空などというものではありません。暗黒の天を埋め尽くす、星の群れでした。それも、私たちの頭の上に降り注いできそうなほどの近さでした。
この夏休み中、子どもたちには、ネオンやライトアップの輝きではなく、本物の星の瞬きを仰いでみてほしいものです。そして、その輝きが神様の希望の印として、いつまでも消えることなく、一人ひとりの心を照らしてくれますように。いよいよ、夏ならではの、合宿行事が始まっていきます。

丘の学び舎 その145

2023年7月3日 校長室より

先週はとても梅雨らしい天気が続きました。毎年慣れているとはいえ、不快指数の高まる季節です。先週お迎えした、オーストラリアのLoreto Collegeからの23名の生徒は、冬から夏への季節の変化に、大変辛そうです。週末は小林の生徒のホストファミリーと楽しく過ごし、今日は一緒に登校です。

この季節の楽しみは何といっても、紫陽花でしょう。今年はことのほか、花が大きく、美しく感じます。ロザリオヒルの谷の斜面は、紫陽花畑と化し、校庭のあちらこちらにも、様々な種類、様々な色合いの紫陽花が咲き誇っています。そして、校舎の中も、至る所に紫陽花が活けられていて、私たちの目を楽しませてくれています。

保護者会にいらしたあるお母様が、思わず、「校内の紫陽花が本当にきれいですね。」と声をかけてくださいました。何か、最高のおもてなしができたようで、嬉しくなりました。

小林聖心の卒業生で、高浜虚子のご令孫でいらっしゃる稲畑汀子先生(2022年2月逝去)が詠まれた、紫陽花にまつわる美しい俳句があります。
「紫陽花に色めく風となりにけり」 稲畑汀子
色とりどりの、不思議な紫陽花色に染まった風。そんな風が、今、小林聖心に吹いているようです。どんよりと、重くて暑い空気に汗をぬぐいながらも、紫陽花色に色めく風に、心を憩わせたいものです。

いよいよ7月。夏休みはもうそこまで来ています。

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