小林聖心
女子学院
ブログ
丘の学び舎 その135
いよいよ、2022年度の学校生活、最後の週を迎えました。小中高で、学年を締めくくる様々な行事が続きますので、学校の中は、いつもにも増して活気が溢れています。やがて、小学校と中学校の卒業証書授与式が行われ、全学年終業の日を迎えます。
小林聖心の春休みは、休みとはいえ、生徒の活動が続きます。4月に行われる学院祭に向けて、大忙しの時です。特に、創立100周年を祝う2023年度は、小学校から高校まで、学院を挙げて、3日間の記念学院祭となります。コロナ禍で中止になったり、オンライン化されたりと、変則的な学院祭が続きましたが、2023年度は一挙に通常が戻ってきます。保護者と一般のお客様向け「Come and See Day」に加え、同窓会と旧職員皆様が集う「Homecoming Day」も開催されます。一体どんな日になるのでしょうか。考えるだけで、ワクワクしてきます。
学校生活の一日を支える朝の祈りで、毎日耳にするアンジェラスの鐘の音も、今週でしばらくお休みとなります。神様に向かって心を挙げ、遠くの人ともつなげてくれる鐘の音。その日その時の、一人ひとりを励まし、癒し、温めてくれる鐘の音の響きに、「今学年もありがとう」という気持ちを込めて、今週は特に、心を込めて耳を傾けたいと思います。創立の頃からずっと鳴らされてきたアンジェラスの鐘。新型コロナで一斉休校の3年前も、この鐘の音が生徒の端末で配信され、不安な子どもたちの心を学校へつなぎ、また生徒同士をつなぐという大切な役割を果たしてくれていました。
いよいよ、コロナも新たな局面に入っていくことになります。2023年度、創立100周年の年度の始業の日では、この鐘の音とともに、一学年ずつ進んだ児童生徒が、神様の祝福とともに、新たな気持ちで学校生活を始めることができますように。
StageⅠ児童会選挙
本校が推し進める4-4-4制の最初の段階であるStageⅠの児童会選挙が行われました。
主役は4月から最高学年となる3年生です。
立候補者は一人ずつ演説を行いました。
どの候補者も「みんなが笑顔に」「楽しい学校」といったワードを中心にした熱のこもった演説でした。
投票は一人ひとりのタブレットから行います。
結果は明日、発表されます。
丘の学び舎 その134
先週の金曜日は、雛祭りでした。女の子がいる家庭では、お祝いの食べ物が食卓を飾ったのではないでしょうか。私の思い出は、ちらし寿司にハマグリのお吸い物、そして、桜餅です。
小学校では、例年、雛祭りに三色団子を食べていたのですが、コロナ禍ですっかり途絶えてしまっていました。今年は3年ぶりの三色団子復活です。いつになくキャラキャラと楽しそうな、下校時の1年生に出くわしました。そこで、「今日は、お団子、美味しかった?」と尋ねてみました。一人ひとり、とても嬉しそうに、「美味しかった!」「お家に持って帰って食べる!」「一つだけ残したので、お家で食べる!」などと、思い思いのことを語ってくれました。中には、こんな言葉もありました。「お家で食べるお団子より、ずっと美味しかった!」
お家のお団子も、美味しいに違いないのですが、学校でいただくと、もっと美味しく感じたのでしょう。「そう、きっとみんなで食べたから美味しかったのよ。」と返しておきました。
みんなで同じものを食べると美味しくなる。これは、子どものみならず、人間の経験の原点ともいえるのではないでしょうか。コロナ禍で途絶えていたこうした何気ない喜びが戻ってきたことがとても嬉しくなりました。
ケラケラ笑いながら、楽しくてたまらないという表情で友達と帰っていく一年生を見送りながら、一緒に食べたお団子の美味しさを忘れないようにと、思わず祈る気持ちになりました。いい雛祭りでした。
丘の学び舎 その134
いよいよ3月を迎えます。3月といえば、子どもたちにとって楽しみな雛祭りがやってきます。小学校では、1ヶ月ほど前から、雛人形が飾られています。7段飾りで、たいそう立派です。子どもたちは、前を通る度に、嬉しそうに眺めています。
桃の節句は、季節の節目となる五節句の一つです。どの「節句」でも、伝統的に、邪気を祓うための行事が行われてきました。桃の節句では、特に女の子の健やかな成長を願って祝われます。
2月には、「節分」もありました。季節を分ける各季節の始まりの日(立春、立夏、立秋、立冬)の前日が「節分」です。本来は4回あるわけですが、今では立春の前の日がよく知られており、邪気を祓うために、豆まきをする慣習があります。
私たちの生活の中の「節目」も色々あります。節目を丁寧に過ごすことで、人生を豊かにすることができます。学校で最も大切な節目は、学年末という節目です。一つの学年を終え、次の学年を準備するときです。
小林聖心の小学生は、この大事な節目の時を、感謝と共に過ごします。お世話になった方々、ともだち、学んだこと、自分を取り巻く自然や頂いた食物等、そして、いつも一緒にいてくださった神様。感謝こそ、さらに伸びていくための、節を作ってくれます。しっかりとした「節」を作り、強くてしなやかな竹のように、新しい学年も伸びていけますように。
丘の学び舎 その133
先週、ニュージーランドのシスターAnne Corryが、小林聖心を訪問してくださいました。聖心会総長の顧問のお一人で、普段はローマの本部でお仕事をしておられますが、世界中をまわって、聖心女子学院や聖心会の修道院を訪問することも大事なお仕事です。
シスターAnneには、小林聖心で、どうしてもお連れしたいところがありました。それは、ミッショナリーのマザー方が眠っておられる墓地です。その中のお一人に、マザーElizabeth Sprouleというニュージーランド出身のマザーがおられます。日本に最初に派遣された4人のシスターのお一人で、20代の若さで、日本に来てくださいました。長い間、小林の子どもたちに英語を教えてくださいました。小学校1年生から英語を楽しく学ぶ学ぶ伝統は、きっとこのマザーから始まっているのでしょう。
シスターAnneをお墓にお連れし、一輪のお花をたむけていただきました。多分、ニュージーランド国籍のシスターがマザーSproule のお墓を詣ってくださったのは、初めてではないでしょうか。シスターAnne は、目に涙をいっぱい浮かべて、お祈りしておられました。115年前に、自分の国のシスターが日本に来て生涯を捧げ、この小林で眠っているとは、本当に感慨深いことだったと思います。横で一緒に祈った私にとっても、恵みの時でした。「マザーSproule、ニュージーランドからのシスターですよ。嬉しいでしょう!」と思わずお墓に向かって声をかけてしまいました。
お墓の後は、校舎を案内しました。1年生や4年生が歌を歌って歓迎したのを、シスターAnne はとても楽しんでくださいました。
丘の学び舎 その132
昨日はまるで春の陽気でした。立春が過ぎ、寒暖を繰り返しながら、春の足音が近づいてきています。いよいよ、高等学校卒業式が行われる週を迎えました。学校の一年の終わりの季節を迎えています。
この頃になると、谷川俊太郎さんの「春に」という詩を思い出します。合唱曲としても親しまれている詩で、「この気持ちは何だろう」という言葉が繰り返されているのがとても印象的です。
「目に見えないエネルギーの流れが 大地からあしのうらを伝わって ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ 声にならないさけびとなってこみあげる」「枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく よろこびだ しかしかなしみでもある いらだちだ しかもやすらぎがある あこがれだ そしていかりがかくれている 心のダムにせきとめられ よどみ渦まきせめぎあい いまあふれようとする」「あの空の青に手をひたしたい まだ会ったことのないすべての人と 会ってみたい話してみたい あしたとあさってが一度にくるといい ぼくはもどかしい 地平線のかなたへと歩きつづけたい」
思春期の子供たちの心は、まるで新芽のような若いエネルギーに満ち、相反する様々な感情が入り乱れて揺れ動いています。希望や期待に胸を膨らませる一方、不安や恐れにとりつかれることもあります。「この気持ちは何だろう」と自問しながらの一歩一歩です。やがて、そうした葛藤の日々を通り過ぎ、心豊かで穏やかな女性として高等学校旅立ちの日を迎えます。
高校3年間をまるまるコロナ禍で過ごした12年生の旅立ち。祈りを込めて送り出したいと思います。
丘の学び舎 その131
立春を過ぎました。冷たい風の中にも、春の光を感じます。高等学校の卒業式まで、2週間を切りました。12年生を見送る日が近づいてきています。
昨年度12月末に行われた6年生の面接で、ある児童が語ってくれた言葉が、今も心に響いています。「この学校が大切にしていることは、縦と横のつながりだと思います。」6年生があえて「縦」と「横」と表現してくれたことには、それなりの実感があるのでしょう。現在学校が力を入れている、4-4-4制12年間一貫教育が実ってきているのを感じます。
卒業式を前に、進学先の決まった12年生と小学生との交流が盛んになっています。同じキャンパスで、12年がつながっているからこその取り組みばかりです。とても大人に見える、歳の離れたお姉さんたちとの出会いは、感動することばかりのようです。
10年以上続いている「ようこそ先輩」というプログラムでは、12年生が5・6年生に向けて、小林聖心での学びについて語ってくれます。同じ学校で学んできたお姉さんたちの話には、説得力があります。今年から、12年生が、放課後、低学年の小学生の勉強を見てあげるというプログラムも始まりました。いつもはなかなか気が乗らない補習も、お姉さんたちが教えてくれると、頑張る気持ちが湧いてくるようです。また、ロザリオヒルで行っている放課後の児童あずかり「マイヤークラブ」では、12年生が宿題やお遊びの相手をしてくれます。お姉さんと一緒にいられるのが、嬉しくてたまらない様子です。
「縦と横のつながりを大切にしている」とは、よく表現してくれました。この出会いとつながりがかけがえのない体験となり、一人ひとりの人生を豊かにしてくれますように。
丘の学び舎 その130
先週の厳しい寒さから少し解放され、今日、学校は明るい日差しに包まれています。「10年に一度程の寒さ」と報道されていましたが、確かに、先週は、小林聖心では珍しい、本格的な雪景色を眺めることができました。子どもたちは大はしゃぎ。雪合戦や、雪だるまつくりをして楽しみました。
雪が解けた後、小学校前庭のパンジーを見ると、雪の重みでぐったりと元気を失っているのがわかりました。雪や霜に強く、耐寒性に優れた植物であるとはいわれますが、それでも先週は堪えたに違いありません。温かい光を浴びて、今週は、また明るい顔が戻ってくることでしょう。
中高では、先週は7・8年生、そして、今週は9年生、来週は10~12年生と、黙想会が続きます。先週の7・8年生の黙想会で、両方の学年の神父様が、「思い悩むな」というメッセージを伝えておられたのが印象的でした。お二人の神父様の話は、もちろん福音書に基づいています。「『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。・・・あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。 何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。 だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」(マタイによる福音6:31~34) 混沌とした時代を生きていく子どもたちには、日々の思い悩みを委ねて、神様への信頼を育んでほしいものです。
厳しい寒さの中にも、春の光を感じさせられる季節となってきました。この寒さの中で準備されている春を楽しみにしながら、学年末、子どもたちが活き活きと命を伸ばしていきますように。黙想会の恵みを祈り続けたいと思います。
丘の学び舎 その129
今朝は雪の予報が出ていましたが、学校近辺は冷たい雨でした。暦の上では大
寒が過ぎ、これから三寒四温を経て、徐々に春になっていきます。キャンパス
の樹々もすっかり葉っぱを落として寒々としていますが、幹の中では春の準備
をしているのでしょう。
こんな季節でも、キャンパスで子どもたちの楽しみは尽きることがありません
。校門から入ると、いつも下を向いて何かを探しながら歩いている小学校。先
日も1・2年生が「シダーローズ、シダーローズ」と呟きながら、身をかがめて
拾っていました。「シダーローズ」とは、ヒマラヤ杉の松ぼっくりです。バラ
の花のような形をしていて、とても美しいです。子どもたちにとっては、何も
かもが宝物です。小さな指で拾っては、袋に詰めて誇らしげです。
学校では、それぞれの学年が、締めくくりの時期を迎えています。学習面で、
また普段の生活で見かける姿にも、4月からの変化・成長を眺めるのが楽しみ
な時期です。昨年秋から、12年生、6年生、そして、9年生と校長面接が続き、
今は、9年生と話すのを楽しんでいます。
この生徒たちも、かつては、目を輝かせてシダーローズを集めていたのでしょ
う。中学生になる年の2月頃から新型コロナが拡大し、中1の新学年最初は登
校できずにオンライン授業。入学式は忘れもしない夏服姿でした。そんな中学
校生活の出だしにも関わらず、この3年間で見事に成長したことを、一人ひと
りの表情と言葉から感じ取ることができます。StageⅢとして過ごしたこ
の1年間で、すっかり上級生の姿に魅せられ、なりたい自分の姿を描きながら
、歩み始めています。
先日、一生懸命「シダーローズ」を集めていた子どもたちも、あと数年後には
このようになっていくのでしょう。子どもたちの成長を目の当たりにすること
ができて、教師冥利に尽きる日々です。