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丘の学び舎 その84(中高生版)

2020年8月24日 校長室より

中高生の皆さんへ
夏休みの最後の日々、どのように過ごしましたか。今年は3週間という短い夏休みになってしまいましたが、工夫して上手に時間を使うことができたでしょうか。
先週、関西では危険な暑さが続きました。コロナ対策のマスクのこともあり、熱中症の警戒がますます高まっていました。しかし、そんな暑さの中、10日程前のある夜、コオロギが鳴いているのを耳にして、不思議と涼しげな気持ちになりました。確かに暦の上では、8月23日が「処暑」で、暑さが一段落する時期です。秋の虫たちは、季節の移り変わりを察知しているようです。
コオロギの「コロコロ コロコロ」 という鳴き声を聴きながら、つい口に上ってくるのは、小学生の時に習った「虫のこえ」という歌です。「♪あれ 松虫が鳴いている ちんちろ ちんちろ ちんちろりん あれ 鈴虫も鳴き出した りんりん りんりん りいんりん 秋の夜長を 鳴き通す ああ おもしろい虫のこえ♪」私は最後の節がとても好きです。虫の音ではなく、虫の声。そして、その声はとても「面白い」のです。日本語の「面白い」には色々な意味がありますが、この場合あてはまるのは、「心に響くものがある」という面白さではないでしょうか。
英語では「虫の音(insect sound)」と表現するのが普通です。日本語で虫の「音」ではなく虫の「声」と表現するのは、母音中心で成り立つ日本語の特性によるものであるという研究があります。日本語で日々意思疎通を行っている日本人が、日本語同様母音的な構造を持つ自然の音を聴くと、そこに意味を見出すことができるのだということを述べられた角田忠信先生の著書を読んだことがあります。やはり私たちには、「虫の音」ではなく「虫の声」がぴったりですね。ただの音のようには思えません。風のそよぎ、小川のせせらぎ、そういった自然がつくり出す音はすべて声のように語りかけ、心に響いてくるというのが実感です。
コロナだ、熱中症だ、と穏やかならざる日々ですが、ちょっと耳を澄ませ、厳しい残暑の中でも、心に響く「声」に気づいてみたいものです。

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