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丘の学び舎 その93

2020年10月26日 校長室より

10月26日
10月最終週を迎え、日に日に秋らしくなってきています。休校中だった半年前は、日々若葉が鮮やかになり、命の輝きを放つ自然から元気をもらっていました。依然として目に見えないウイルスは人間を脅かし続けていますが、朝晩のピンとした空気や、キンモクセイの香り、カサカサと木の葉の擦れ合う音等、深まりゆく秋が疲れた心を癒してくれています。
小学校の前庭を歩いていると、小学生が、「シスター、ほら。」と言ってドングリを見せてくれたり、「見て、見て」と言って、キノコがニョッキリ地面から顔を出しているところへ連れて行ってくれたりします。毎日のように通っているところなのに、こんな「小さい秋」に気づかなくなっている自分に少々がっかりです。
最近読んだ本の中で、社会学者の大澤真幸氏が、「現在は、地質時代として、人新世(アンソロポセン)である。」と書いておられました。「人新世」とは、「人間の活動が地球環境の気候条件にものすごく影響が大きくなった時代」です。人間が農業を始めた時からだとか、産業革命以降だとか、様々な説があるようですが、どうやら、そのことを実感できる時代に私たちは生きているようです。「人間は自然に対してあまりにも強くなったがゆえに、逆に、自然に対する自身の無力さを自覚せざるをえなくなる時代」、これが「人新世」であるという言葉に、とても納得させられました。今回のウイルスも、グローバルな資本主義のもと、人間が野生動物の世界に進出しすぎて、動物からウイルスを受けやすくなった結果であると考えられるようです。
今回の新型コロナウイルスの事態は、保健医療の範囲を超えた様々な課題を人類に投げかけています。そして、その一つに、人間と自然とのかかわりという深刻なテーマがあります。教皇フランシスコが昨年の訪日に際して掲げたテーマは「すべてのいのちを守るため」でした。すべての被造物が「共に暮らす家」である地球の「いのち」を顧みることなしに、人間一人ひとりの「いのち」の尊厳を守ることはできないというメッセージを強く感じました。子供たちの希望をつなぐ未来のため、そして、このコロナ禍だからこそ、自然とのかかわりという課題に向き合っていきたいと思います。

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