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校長より
2020.05.11
丘の学び舎 その49(中高生版)

中高生の皆さんへ
立夏を過ぎ、いよいよ初夏の陽気になってきました。
この時期になったら紹介しようと思っていた木があります。本館談話室横の扉から出入りする時、必ず目にする「小手毬(こでまり)」です。4月中旬から花をつけ始め、見頃を迎えました。無数の白い小花が集まって手毬のようになり、その小さい手毬のような花が、一本の枝に幾つも並んでいます。花の可愛らしさもさることながら、そばを通るだけで手毬が揺れるような、そんな優しい雰囲気に魅了されます。
ところで、この2か月余り、私にとっては、とても不思議な時間が流れています。皆さんの何倍も生きてきましたが、生まれて初めての感覚です。時計の時間は同じように流れていて、周りの自然は移り変わっています。お仕事をして、頭も体も一応動かしているつもりなのですが、ふと気づくと、3月から時間が止まっているような感じです。
創立者聖マグダレナ・ソフィアのお言葉「日めくりカレンダー」で、先週、こんな言葉に出会いました。「神の業は ゆっくり かつ ひっそりと 成し遂げられます。」『ゆっくり』『ひそかに』、それが神様のなさりようなのだと、はっとさせられました。 現代人のスピード感覚では耐え難い、待つより他ない時間の中で、一刻も早く普通の生活に戻りたくてもがいているような私たちです。しかし、コロナ禍は『ゆっくり』『ひそかに』世界を変えながら終息していくのではないでしょうか。というよりは、すでに変わってきていたものが、最後の局面を迎えているといった方が正しいのかもしれません。新しい世界の姿は、まだはっきり見えてきません。世界の政治・経済の枠組み、人間の意識、自然と人間との関係、国家を超えた連帯・・・等々の変容。歴史が動いていきます。
そよ風を受けて優しく揺れる「小手毬」の花を見ていると、『ゆっくり』『ひそかに』働いておられる神様を見る思いがします。そして、このところの不思議な時間が、意味を持つように感じるのです。

談話室横の「小手毬」

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