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校長より
2020.05.12
丘の学び舎 その50(中高生版)

中高生の皆さんへ
気がつくと、もう5月も半ばにさしかかろうとしています。いつもなら、夏休みに行われる海外体験学習の準備が進んでいる頃だと思うと、妙に懐かしくなります。今年は、小林聖心からの派遣も、小林聖心への受け入れも、すべての海外体験学習プログラムが中止となり、残念でなりません。一つのプログラムだけが中止になったことは過去数回ありましたが、今回のように、派遣も受け入れもすべて中止というのは、かつてなかったことです。しかし、これが今、私たちが置かれている世界の現実なのでしょう。
小林聖心で、皆さんがよく耳にしている言葉の一つに「Trans‐Border」というのがあります。現代の若者は内向きで、海外に行きたがらないとマスコミの話題に上ったりしますが、小林聖心の生徒を見ている限り、決してそんなことはありません。外国に対する垣根がとても低いのでしょう。それは英語への興味はもちろんのことですが、世界に広がる聖心ネットワークのお陰で、小さい時から海外の話をよく耳にし、外国がいつも身近にあった、ということを卒業生が話してくれます。
他国との行き来が厳しく制限され、日本国内でも他府県への移動がままならないほど限られた地域での生活が余儀なくされている今、「Border(国境・境界)」を超えるとはどんな意味を持つのでしょうか。しかも、隣の人とも「Social Distancing」で物理的な距離を置くよう注意を払わなければなりません。この生活が続くと、ウィルスが終息しても、人との直接的な関わりを警戒し、異なる文化に飛び込む勇気を失って、慣れ親しんだ狭い枠組みの中で安穏としているような私たちになってしまうのでしょうか。
物理的に国境を越えることが不可能な状況の中で、人間の精神はいつも境界を超える自由に招かれています。海外に出ていくことだけが必ずしも「Trans-Border」ではありません。何かに囚われて心を開くことができない、そんな自分に気づくことが超えるということ。「Trans-Border」の本質である「Open Mind,Open Heart」を、この事態の中でも生きていけますように。

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