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小学校
2021.05.10
丘の学び舎 その121

初夏の陽気となり、青葉若葉が爽やかな季節を迎えました。「マリア様の月」5月らしい活き活きとした自然に心は晴れ、コロナの憂鬱も吹っ飛びそうです。
ところで、このマリア様の季節になると、思い出す詩があります。茨木のり子さんの「みずうみ」という詩です。「だいたいお母さんてものはさ しいん としたとこがなくちゃいけないんだ」ということばで始まります。通りすがりに耳に入ってきた女の子たちの会話の一部のようです。「何という名セリフ」と綴りながら、「お母さんだけとはかぎらない 人間は誰でも心の底に しいんと静かな湖を持つべきなのだ」と続けておられます。
「心の底のしいんと静かな湖」これはまさに、聖母マリアの心そのものではないでしょうか。どこまでも深い思いを抱え、穏やかに静まっている。その静けさはすべてを受け止める静けさ。風が吹けばそよそよとゆらぐけれど、やがて深い底へと包み込んでゆく。
聖書に描かれた数少ないマリア様の描写の一つに「マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。」(ルカ2:19)というのがあります。イエス様が生まれた時に起こった出来事が何のことかよくわからず、マリア様は思い巡らしていたというのです。自分が神の御子を宿すことになった時から、そのひとり子が十字架上で亡くなる時まで、マリア様の全生涯を貫いていたのは、まさにこの思いめぐらす姿勢でした。
現代は、物事をあるがまま受け止めることが難しい時代なのではないでしょうか。理屈で納得できない限り、受け入れられないといわんばかりです。それはある意味必要なことですが、人間がいくら知恵を絞ったところで、どうにも理解できないことに遭遇するのが人生です。
小さい女の子が教えてくれた通り、人間には「しいんとしたとこがなくちゃいけない」のでしょう。このしいんと静かな湖が私たちの心に広がりますように、マリア様の助けを願いながらお祈りいたしましょう。

高校校舎のマリア様

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