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校長より
2021.08.02
丘の学び舎 その133

夏休みのクラブ活動は、7月をもってほぼ終わりました。猛暑の中、運動場でも、校舎内でも、真剣にクラブに打ち込む生徒の姿があちらこちらで見受けられ、クラブ活動が学校生活において担う重要性を実感しました。
盛夏らしいセミの鳴き声に包まれたキャンパス。普段とは異なる活動で活気あふれる校内を歩いていると、ふと特別な空気を味わうことがあります。油絵の制作に専念する美術工芸部の生徒が醸し出す、不思議な静寂です。思い思いの場所で一人佇み、黙々とキャンバスに向き合い、筆を進めています。すぐ横を運動部の生徒が走っていても、気を散らすことはないようです。描いている対象とキャンバスの間を行き来するまなざし。何度も塗り重ねられていく油絵具。それ以外には、何の動きも音もない空間。しかし、何かとても「尊い」ものを感じさせてくれる姿です。
新しい学習指導要領の方針に従い、学校教育においては、「主体的・対話的で深い学び」が実現するよう努めています。その表現自体は、すっかり教師の間に定着した感があります。しかし、ややもすると、仲間や教師と言葉のやりとりをしながら、動きのある活動をさせることのみで良しとする傾向があるのではないでしょうか。「Active Learning」が誤解を招きやすいこととも関連しています。
校内で一人黙々とキャンバスに向かう生徒の姿を眺めていると、これはまさに「主体的・対話的で深い学び」以外の何物でもないという確信が湧き起こってきます。対象と向き合う主体性をもって、対象との対話、自分自身との対話を繰り返しながら、対象をキャンバスに表現していくことで成立する深い学び。何十時間、百何十時間とこの学びを続けることで、生徒はどれほど成長していくことでしょう。
校内にこうした姿があることをとても誇りに思います。そして、その姿は、小林聖心の生徒の心の最も深い部分をつくっている「祈り」とも重なって見えてきます。

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