総合的な学習(ソフィータイム)総合的な学習
(ソフィータイム)

社会の問題に触れる体験活動で、自ら考える力を養う

創立以来、聖心女子学院の知育のねらいは、一貫して思考力と判断力の育成にあります。ある分野で学んだこと、習った技能が、他の分野での理解・発見・問題解決につながり、それがさらに次の学びへ向かうような人間を育てたいと願っています。そのために、本校ではすべての教科の学習活動において「頭と体と心を使った学習」を実践しています。
本校の総合的な学習の時間は、創立者の名前にちなんで「ソフィータイム」と名づけられ、小学校3年生からさまざまな体験的活動を取り入れた授業を行っています。
総合的な学習では特に、成果よりもプロセスが大切であると考えています。
そのため、「つじつま合わせ」で見栄えばかりを整えるよりも、失敗しても良いので丁寧に聞く、読む、考える、書く、振り返る、を重ねていくことを大切にしています。

小学校の総合的な学習(ソフィータイム)

情報化社会と言われる現代においては、必要な知識や情報を自分で探して見つけ出すことが求められています。その力を育てるために本校では、図書館やコンピュータ教室などの教育施設を活用した「調べ学習」を展開。さらには校外に出かけ、実際に社会や自然に触れる体験の機会を持つようにしています。

テーマは全学年を通して「命」とし、学年ごとに「地域社会」「環境」「生命」「国際理解」など、個別に課題を設け、現実社会の問題と向き合います。

小学3年生 「ものにこめられたいのち」(《縦・横・歴史・未来》プロジェクト)
小学校の総合的な学習(ソフィータイム)イメージ

校長先生はじめシスター方や卒業生の先生方に話をお聞きしたり、アーカイブ、本館、新館、旧校舎やシスター方のお墓などを訪問、見学をしたりすることを通して、学校の歴史を知り、これまで大切にされてきたこと、伝統などについて考えます。さらに、12年生からのビデオレターを見て、創立100周年を迎える自分、さらに未来に向けて自分がどうありたいか考え、未来の自分に宛てて手紙にまとめます。
学習の終わりには、「学校の歴史から、自分が大切に後の後輩たちに受け継いでいってほしい学校のよさ」についてまとめ、デジタルパンフフレットを作ります。

小学4年生 「命をささえる水」(逆瀬川の魅力を探る)
小学校の総合的な学習(ソフィータイム)イメージ

小林聖心のすぐ近くに流れる逆瀬川。日本初の流路工が行われ、令和元年には土木遺産にも選ばれた自然豊かな都市河川です。この逆瀬川の魅力を、実際に逆瀬川に関わっておられる行政の方や、市民団体の方のから伺い、何度も逆瀬川へのフィールドワークに行きながら、探究活動を進めます。
学んだことは、市民の皆様に役立つよう、パンフレットやオンライン動画の形でまとめ、公開しています。

<参考>
4年生の学年研究「逆瀬川ガイドブック」が、宝塚市立図書館に配架されます(2019年度)
小学4年生作成動画「逆瀬川ってどんな川?」を公開しました。(2020年度)

小学5年生 「かかわりあう生命」(平和のいのりをつくる)
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広島へのフィールドトリップ(宿泊行事)に合わせて、「平和とはどういうことか」、また「平和を作るために自分にできることは何か」など、平和の概念を広げることを目的に学習を進めます。過去の戦争を振り返るだけではなく、現代社会の問題に目を向けながら「日本は今平和なの?」という問いを持ち、議論を重ねることで、世界情勢や日本の置かれている立場を、5年生なりに理解し、現在の日本の現状や世界との繋がりに目を向けるきっかけとします。また毎年、広島での現地学習を通して、子供たちにとって現実味のない戦争が一瞬にして現実に迫った様子が見られます。
戦争という現実を受け止め、平和に対してありきたりではない、具体的な自分なりの意見や願いを持ち、それを「平和の祈り」という形にして全校生に伝えていきます。

小学6年生 「国際理解」(世界の人とのつながり、留学生との交流)
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小学6年生は、オーストラリアからの高校の留学生との交流会「ジャパン・フェスティバル」を秋に開催します。これは、日本らしい文化についてひと夏かけて調べ学習を行い、調べたことを整理し英語に直した上で、留学生の方に伝える行事です。テーマは、着物、お茶、伝統遊び、米、昔話など。さまざまな日本らしいものを英語で説明し、体験してもらうこの行事は、留学生の方にとても好評です。
また、「ジャパン・フェスティバル」に向けて様々なことを追究する中で、「おもてなしの心」「礼を尽くすこと」などの日本の文化のよさを再発見していくことができるのも、この総合学習のよさです。

中学校・高等学校の総合的な学習(ソフィータイム)

中学1年生 調べ学習の基礎訓練
中学校・高等学校の総合的な学習イメージ

「知りたい情報をいかにして手に入れるのか?」―――、これは生涯を通して数多くの場面で出会う難しい問題でもあり、日々の教科学習・総合的な学習で成果を出していく上でも大切なスキルです。本校では、学習センターにあるたくさんの本の中から見たい本を探す方法から始まり、本の中からの情報を取り出す方法、人に分かりやすい情報伝達の仕方など「調べ学習」の基礎訓練を中学1年生でしっかり行っています。

中学2年生 自然科学分野を通じた思考サイクルの確立
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中学2年生では、前学年で身につけた基礎を駆使し、仮説→実験→結果を踏まえて考察し、新しい仮説を立てる…という思考サイクルを学び、体得していきます。そして、理科の探求分野と連携しながら、自分たちの興味・関心のある題材を選んで研究や実験を繰り返し、その原理や実験結果を分かりやすくブース展示する「小林聖心科学館」を2月に開いています。
「小林聖心科学館」には保護者の方にも参加していただくほか、本校の小学5・6年生を招きます。生徒たちは、下級生にも分かりやすい説明になるよう心がけて準備を進めるため、自然と説明する力が身についていきます。

中学3年生 論理的思考力の養成 ~社会的弱者への関心を深めながら~
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中学3年生では、次の時代を背負う者として“社会的弱者”について考えていきます。そして、現在社会的に問題となっている分野における様々なテーマを選び、ディベートを行います。ディベートの準備・実施を通して、根拠を挙げて人を説得できる論理を構築する力を身につけていきます。準備の段階で学習センターの統計資料や文献も駆使しながら、時には行政へのインタビューを試みる生徒もいます。

高校1年生 これまでのスキルを生かしながら、生き方を考える
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高校1年生では、今までに身につけてきた様々な基礎スキルを駆使しながら、自らの生き方を考えていきます。前半期は、現場の方のお話などをうかがいながら福祉分野への関心を深め、夏には老人ホームなどに介護体験に行く生徒もいます。後半期は4年間の集大成として、自分の関心に基づいたテーマについて約5,000~6,000字で論文を書きます。論文を提出後、各生徒は、最終審査である2名の教員で行われる口頭試問に合格する必要があります。
資料を集め、論証し、結論を導くという論文の書き方を学ぶことは、自らの将来像を描くよいきっかけになっています。

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