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丘の学び舎 その132

2021年7月26日 校長室より

猛暑続きの毎日です。学校では、職員室の改修工事が着々と進んでいます。仮職員室の住み心地もよくなってきました。毎日、少しずつ変化していく旧視聴覚教室と中高職員室を眺めながら、色々なことに気づかされ、感動しています。今日は、二つのことを分かち合いたいと思います。
 まずは、本館教室の扉です。写真をご覧になると、卒業生の方はとても懐かしい扉なのではないでしょうか。建築家レーモンド独特の、上部にレールのついた引き戸です。もちろん通常はレールの部分が木材で覆われていて見えませんが、この度、上部の木材が剥がされることになりました。レールの錆びで扉の開閉が相当重くなっているため、レール部分を交換することになったのです。約100年の間、重い扉を吊るしてきた鉄のレールを初めて目にし、レーモンドに出会ったような気持ちになりました。扉を引く時の「ゴロゴロ」という音と感触を日々味わってきたものとしては、思わず「よく働いてきてくれました」とお礼を言いたくなるようなレールです。
 もう一つ感動して眺めているのは、天井裏と床下です。工事を始めると、まず着手しなければならないのは、見えない部分なのだということがよくわかりました。日頃、何気なく使っている建物ですが、肝心なものは、すべて見えないところを通っているということに今更ながら気が付きました。天井のはがれた屋根裏に、様々な種類の配線や管が通っています。それらをまじまじと眺めながら、創立者聖マグダレナ・ソフィアが教育を建築に例えたことを思い起こしています。
 これまでも折々に手を加えながら、現在の本館校舎になってきました。しかし、原形は、レーモンドのどっしりとした建物です。業者の方から、「本当に素晴らしい材料でできている建物ですね」というお言葉を頂き、先人方が遺してくださった校舎を大切にしていきたいという思いを新たにしています。

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