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校長より
2021.02.22
丘の学び舎 その110

三寒四温という言葉がそのままあてはまるような一週間でした。着実に自然界は春に向かっています。ついていくのが大変なのは、人間の身体だけでしょうか。学校は2月下旬を迎え、いよいよ学年末です。2ヵ月ほぼ休校という異例な学年初めで、コロナ対応に奔走しているうちに、あっという間に一年が過ぎてしまったというのが実感です。しかし、児童生徒は、大人が思う以上に社会の変化を敏感にキャッチしながら、例年とは異なる経験を通して学び、成長したに違いありません。
小学校では、感謝週間を迎えています。子供たちは、毎年この時期、沢山の感謝を見つけて過ごします。見えないところで学校生活を支えて下さった方々、友達、先生、そして、すべてを与えてくださっている神様への感謝です。その気持ちを手紙に書いたり、行動で表したりします。教室や、学校で使った様々な物に対する感謝の気持ちも大切です。ピカピカ大作戦で一生懸命心を込めてお掃除します。これらができたら、花びらを一枚ずつ貼り、大きな感謝の花を咲かせようとしています。
この時期になると思い出す詩があります。河野進牧師さんの「ただ」という詩です。
「もっとも大切なものは   みな ただ    太陽の光    野や山の緑    雨や川の水    朝夕のあいさつ    神への祈り    そして母の愛」 
ものの価値を「○○円」と置き換えて考ええることに慣れてしまっている現代人にとって、「ただ」はそれ程大事でないもの、と響くのかもしれません。この詩は、そんな私たちに、 「ただ」ほど大事なものはない、有難いものはないということに気づかせてくれます。自分が素晴らしいわけでも、あるいは自分がしたことへのお返しとして、与えられるのではありません。何もしていない、何でもないこの私に、無償で与えられているもの、あるいはその私が無償で人に与えることができるものが、全部、最も大切なのです。
この一年間、新型コロナウイルスに翻弄されただけで、感謝することは何もないと片づけてはなりません。むしろ、普段、見過ごしていたたくさんの「ただ」が、身に染みた年だったのではないでしょうか。私も子供たちと一緒に、そんな「ただ」への感謝を数え上げながら、今学年の最後を過ごすことにします。

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