丘の学び舎 その83(小学生版)
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丘の学び舎 その82(中高生版)
中高生の皆さんへ
先週、広島と長崎では、原子爆弾が投下されてから75周年を迎えました。今年の平和記念式典は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、大幅に参列者数を減らしての開催になりましたが、世界で様々な不穏な動きがある中、核兵器の脅威を何としてでも伝えなければという責任を感じます。
今年の8月6日を前に、ふと思い出したことがあります。もう30年程前、小林聖心の中学校の授業で取り上げたNHK特集「夏服の少女たち」という番組です。(今はDVDで見ることができます。)1945年(昭和20年)8月6日、学徒動員の作業中に被爆死した、広島第一高等女学校の1年生(12歳~13歳)220人をめぐるお話です。少女たちの残した日記を辿りながら、アニメーションも交えて、8月6日までの日々が綴られています。戦時中の物が何もない中、少女たちは母親のお古の布を利用して、自らの手で夏服を縫いました。その夏服を身に付けた姿で、一瞬にして命を奪われたのです。親御さんのもとに届けられたのは、無残に焼け焦げボロボロになった夏服だけでした。その後、何十年と形見の夏服を大切に守ることで、幼くして逝った娘を弔い続ける親御さんの姿には、胸に迫るものがありました。
この番組を見た後、NHKにお願いし、当時の小林聖心中学校1年生の書いた手紙を、ご存命の親御さんのもとへ届けていただきました。そして、幾人かの親御さんからお手紙をいただき、交流が生まれたことは忘れることができません。
今回の平和宣言の中で、広島の松井市長は「世界中の人々が核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて『連帯』すること」の重要性を訴えるとともに、新型コロナウイルスの脅威を乗り越えるためにも、世界の「連帯」が欠かせないことを強調しておられました。「分断ではなく、連帯を生きること。」これこそ、様々な地球的規模の課題を抱える人類が進むべき道です。「連帯」を選ばなければ、人類存亡の危機さえ招きかねません。
聖心女子学院は、皆さんが「世界の一員としての連帯感と使命感を持って、より良い社会を築くことに貢献する賢明な女性」となるよう願って、教育活動を実践している学校です。自分は将来どんな形で「連帯」を生き、「希望のつくり手(Artisans of Hope)」となっていきたいか、是非、夏休みのゆとりある時間の中で、思い巡らしてみてください。
丘の学び舎 その82(小学生版)
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小学生の皆さんへ82 丘の学び舎 その81(中高生版)
中高生の皆さんへ
8月を迎え、いよいよ夏休みに入りました。想定外の連続のような新学年でしたが、
ここまで皆さんが元気に学校生活を送ることができたことに、心から感謝しています。
梅雨明けとともに、一気に猛暑です。ギラギラの太陽と、ミンミンゼミの鳴き声に、本格的な夏を感じさせられます。8月初めのこの時期、ほとんど毎年、高校生と一緒にフィリピンに行っている私にとっては、何となく淋しい夏休みです。毎年出会っている子供たちや高校生・大学生は無事でいるようですが、フィリピンでも人が集まるような活動は一切できないとのことです。衛生状態が悪く、小さな家でひしめき合って生活している貧しい地域の人々に感染が広がらないよう、祈るばかりです。
ところで、フィリピン体験学習中、何度も読まれる新約聖書の一節があります。それは、
お腹を空かせていた群衆を、イエスが5つのパンと2匹の魚で満腹にしたという話です。「パンの奇跡」といわれたりしますが、イエスがパンを増やしたとは一言も書いてありません。イエスはその場にあった5つのパンと2匹の魚を祝福し、人々に分かち合っていった。すると、居合わせた5千人の男性が満腹し、残ったパンと魚も12の籠に一杯になったというのです。「命のパン」そのものであるイエスを通していただく恵みの豊かさを象徴する出来事として、すべての福音書に記されています。
例え、自分は小さな存在であっても、持っているものはわずかでも、イエスの祝福とともに分かち合う時、沢山の人が満たされる。これはフィリピン体験学習における大切な学びです。言語も文化も社会状況も全く異なる中で生活している者が出会い、素直に心を開いて交流し、分かち合うという経験は、互いを有り余るほど豊かに満たしてくれるということを私は毎年見てきました。
新しい生活様式の下で制限の多い夏休みですが、心を開いて人と関わったり、自分のエネルギーや時間を人のために差し出したりするような分かち合いの機会を、是非、工夫してみてください。そのことを通して、皆さんが命の喜びを体験し大きく成長することができますよう、心から願っています。
丘の学び舎 その81(小学生版)
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